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不動産の贈与とは
不動産の贈与とは、他人に不動産を無償で譲り渡すことを指します。例えば、親が子どもに土地や建物を無償で「あげる」場合などが該当します。
不動産の贈与に関するポイント
- 無償での譲渡: 贈与は対価を伴わないため、贈与を受ける側は何も支払う必要がありません。
- 贈与税の発生: 贈与を受けた側には贈与税が課されます。贈与税の計算には、土地の場合は相続税の路線価方式または倍率方式、建物の場合は固定資産税評価額が用いられるのが一般的です。
- 贈与契約の必要性: 贈与を正式に行うためには、贈与契約書を作成し、登記手続きを行う必要があります。
注意点
- 贈与税の負担: 贈与税は高額になることがあるため、贈与を受ける側の税負担能力を考慮する必要があります。
- 遺留分の問題: 高額な贈与は、相続時に遺留分を侵害する可能性があり、相続人間でのトラブルの原因となることがあります。
- 登記手続き: 不動産の名義変更には登記が必要であり、これを怠ると贈与が第三者に対して対抗できない場合があります。
不動産の「贈与」において鑑定評価が必要となるケース
上述のように、不動産の贈与における課税価格は、土地は相続税路線価(時価の概ね8割)、建物は固定資産税評価額を用いることが一般的であり、この場合、土地建物の課税価格は時価よりも低くなることが多く、相対的に納税額も低くなる傾向にあります。従って、節税の観点からいえば有償の不動産鑑定を敢えてこの場面で取得する必要はないものと考えます。
しかし、以下のような場合には注意が必要です。
遺留分の問題
贈与された不動産が相続開始時に相続財産に含まれる場合、遺留分の問題が発生する可能性があります。遺留分は法定相続人が最低限受け取る権利を保障するものであり、贈与がこれに影響を与えることがあります。例えば、相続人間で仲が悪い場合や遺言により相続に偏りがある場合など、贈与された不動産の時価が争点となり、このような場合に専門家による鑑定評価が役立つことがあります。
遺産分割の意見の相違
上記1同様に贈与された不動産が相続財産に含まれる場合、他の相続人との間で遺産分割に関する意見の相違が生じる可能性があります。特に、不動産の評価額(課税価格)は時価よりも低い路線価等に基づき査定されるため、その評価方法や分割方法についての意見が分かれることがあります。相続人間でトラブルに発展することが想定される場合には、節税云々はまた別の問題と考えていただき、有償ではありますが、鑑定評価を御利用の上、万が一に備えて頂ければと思います。
贈与時の評価と相続時の評価の違い
贈与時の評価額と相続時の評価額が異なる場合、相続人間での公平性を保つために再評価が必要になることがあります。この場合、専門家による鑑定評価が役立つことがあります。
まとめ
贈与においては、仲の良いご親族の場合は特に鑑定評価についてご考慮頂く必要はないものと考えますが、相続に何かしらの不安があるご親族の場合には、遺留分や遺産分割の問題を考慮する必要があります。これらの問題を避けるためには、事前に相続人間での合意を得ることや、必要に応じて専門家の助言を受けることが重要です。
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